Empty Study

本のない書斎/中身のない研究

エンターテイメント映画を見たような【マリオネットの罠】ネタバレ感想

久しぶりで懐かしささえ覚える赤川次郎。小学生の頃に幽霊シリーズや三毛猫ホームズシリーズなどを読んでいたが、内容はろくに覚えていない。というか、ちゃんと理解して読んでいたのかさえあやしいものである。 赤川次郎といえば軽いタッチでコミカルなイメ…

隠すことで際立つメッセージ【片眼の猿】ネタバレ感想

ハードボイルドな世界観の私立探偵もの。文体はかなり軽く、ライトな娯楽作品。いちばん最初に読んだ叙述トリック作品はおそらくこれだと思う。そうとは知らずに読んだが、あとになって言われてみればたしかに叙述トリックだった。 ※以下、「at Home」と「葉…

散りばめられたあざとさ【葉桜の季節に君を想うということ】ネタバレ感想

最後の「補遺」がたいへん興味深いです。いろんな意味で。ここだけ読んでも面白いと思います。もちろん、小説を読むつもりなら、先に「補遺」を読んではいけません。 叙述トリックのおすすめには必ず名前があがるものの、評価は分かれる問題作。Amazonの評価…

【容疑者Xの献身】は叙述トリックか否か

この有名すぎる作品は6~7年前に読んだものだが、なぜ今更レビューを書くかというと、この本が「叙述トリックのおすすめ作品」に挙げられることが多いからである。この作品が叙述トリックかどうかは意見が分かれるようだ。もちろん、叙述トリック作品であ…

大胆にして上品なクラシック【アクロイド殺し】ネタバレ感想

アガサ・クリスティといえばミステリ好きでなくとも知っている超有名作家。「そして誰もいなくなった」や「オリエント急行殺人事件」などの作品も、「読んだことはないがタイトルは知っている」という方は多いだろう。わたしもそのひとりであり、アガサ・ク…

計算された喜劇【倒錯のロンド】ネタバレ感想

遊び心のある、ちょっとひねったプロット。文章は平易で読みやすい。少し物足りないくらいだが、プロットが凝っているので文章はこのぐらいあっさりしている方がいいのかもしれない。 登場人物があまり魅力的でないのだが、これは「魅力的に書けていない」の…

仕掛けもグロさも一級品【殺戮にいたる病】ネタバレ感想

叙述トリックはもちろん、グロ描写でも名高い作品。 いきなり犯人の蒲生稔が逮捕されるシーンから始まる。わたしはスマートフォンで読んでいたため、操作ミスでエピローグに飛んでしまったのだろうかと一瞬疑ったが、そうではなかった。この作品は「エピロー…

”たった一行”のエスプリ【十角館の殺人】ネタバレ感想

この作品はかなり有名らしく、いくつかのサイトでは「ミステリ好きなら当然読んでいると思うが・・・」なんて書かれていたので読んだ。 過去に怪事件があった無人島を訪れるミステリ研究会の大学生7人、趣向をこらした館、そこで起こる連続殺人事件、まさに…

【人はお金をつかわずにはいられない】 久間 十義/朝倉 かすみ/山崎 ナオコーラ/星野 智幸/平田 俊子

欲望を満たすため、社会に活かすため、生活のため…ただ、つかうため? 5人の作家による、「お金」にまつわる短編集。 グレーゾーンの人 久間十義 金利ばかりじゃなく、すべてにグレーゾーンは必要なんですよ。 消費者金融で働く男性の語りを通して、金融の裏…

俗っぽさと、夢の中のような浮遊感【死んでいない者】感想

芥川賞受賞作。芥川賞作品を読むなんて綿矢りさと金原ひとみのとき以来だ、なんて思ったがそういえば「火花」も読んだ。 (又吉氏の作品でいちばん好きなのは「東京百景」) 最近はなんだかんだで芥川賞受賞作を読んでいるかもしれない。 【コンビニ人間】感…

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Empty Study/本のない書斎/中身のない研究 いわゆる書評ブログ。わたしは「書評」という言葉は好まないが、本の紹介をしたり疑問や感想を述べたり解説のようなことをしたりしているので一応「書評ブログ」というカテゴライズになるのだろうと思う。作者へ…

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