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本のない書斎の書評ブログ

読むものを魅了する稀代の書【アラビアの夜の種族】古川 日出男

 

日本推理作家協会賞&日本SF大賞受賞作。

 

聖遷暦1213年、偽りの平穏に満ちたカイロ。訪れる者を幻惑するイスラムの地に、迫り来るナポレオン艦隊。対抗する術計、それは大いなる陰謀のはじまりだった。語られるのは、存在しない物語。13世紀エジプトを舞台とした奇書の登場!

 

この本は又吉氏の紹介で知って興味を持ち、Amazonで注文したのですが、その分厚さに怯んでずっと積読していました(Amazonの履歴を見ると、注文したのは2014年でした)。しかし意を決して読み始めると、とまらないくらいに面白く、すっかり引き込まれてしまいました。

 

 

感想

 

エジプト・カイロに迫るナポレオンのフランス艦隊。武力ではとうてい敵わない近代的軍隊の脅威を前に、エリート奴隷アイユーブは、あまりのおもしろさに読むものを魅了してしまうという「災厄の書」をナポレオンに献上することを提案する。

 

この「災厄の書」、悪名高き教主でさえも、ひとたび読み始めると政務も放り出して読みふけり、暗殺者に囲まれ殺される瞬間まで本のページから目を離さなかったという。

 

「これは誰の目にもとまらぬ刺客、不可視の暗殺者となって、カイロに攻めいろうとする異教徒の愚者どもを滅ぼすでしょう」

 

作中作のように語られる「災厄の書」の中身と、混迷をきわめるカイロ市内。

何が陰謀か、誰の陰謀か。これは誰の物語か。

最後の一行が、物語にいっそうの深みを与える。

 

2段組650ページの分厚い本ですが、軌道に乗ってからは一気に読みました。これから読む方のために多くは語りませんが、久々に読み終わるのが惜しい一冊でした。

 

 

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