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本のない書斎/中身のない研究

「赤い部屋」 江戸川 乱歩

 

内容や、ひとりの登場人物の語りがメインになるあたりが夢野久作を思わせる作品。

 

奇怪な話を求めて、怪しげな赤い部屋に集う会員たち。新入りのT氏が語るのは、自分の退屈と、それを紛らわすために行った99人もの殺人について。

 

冒頭から異様な雰囲気が漂い、世界観に引き込まれる。

 

綺麗なオチがついた、と思ったらそれは単なる芝居で、これまでの殺人についての話も作り話であるという。つまり壮大な「振り」だったわけだ。俗っぽい蛍光灯の光がすべてをしらけさせるラストはなんとも言えない読了感を与えてくれる。

 

しかしT氏はなんのためにこのようなことをしたのだろう。もしかすると、殺人は本当で、自身の行った殺人について誰かに話してみたいという欲求がT氏にこのような茶番をさせたのかもしれない、などと邪推してしまう。この物語におけるT氏の話が本当だったらどんなに面白いだろう。そしてこのような方法で自らを殺したとしたら――。赤い部屋に集う彼らと同じように、とは言わないが、わたしも刺激を求めているのかもしれない。

 

 

図書カード:赤い部屋

 

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