Empty Study

本のない書斎/中身のない研究

「人間椅子」 江戸川 乱歩

 

青空文庫にあると知って、読むのを楽しみにしていた作品。何故か大槻ケンヂのイメージがあるのだが、彼が何かに引用していたりするのかもしれない。

 

婦人のもとに、奇妙な手紙が届く。手紙は見知らぬ男から。椅子の中に入るという奇行に取り憑かれたその男は、今まさに婦人の座っている椅子の中にいると告白する――

 

さて、物語としてはタイトルから想像したものを大きく裏切ることはなかったのだが、だからといってこの作品の魅力は揺るがない。異様な作品であることは間違いないし、読ませる。今読んでもゾクゾクできる名作。

 

「奇譚」と言えばこれほどの「奇譚」もないだろう。タイトルからしてその雰囲気がある。「手紙」という形の作中作がメインであることは夢野久作を思わせるが、現実的なオチがつくあたりは乱歩らしいと感じた。

 

追記

乱歩は「黒蜥蜴」で、「人間椅子」をモチーフにしたトリックを用いている。自らの手によるオマージュには、ヒッチコックが自身の映画にカメオ出演するような遊びを感じる。

 

 

 

図書カード:人間椅子

 

アクセスカウンター