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本のない書斎/中身のない研究

「ボスコム谷の惨劇」The Boscombe Valley Mystery アーサー・コナン・ドイル

 

これもはっきりとは覚えていないのだが、読んだことがあるような気がする。なんだかんだでシャーロック・ホームズシリーズはけっこう読んでいるのかもしれない。

 

冒頭のワトソンと妻の会話がなかなか気が利いていて良かった。

 

さて、ターナー氏は犯行を認めたものの、娘への悪影響を心配する。もしも無実の人間が有罪になりそうだということになったら法廷で真実を話すつもりだという。

 

日本の刑事ドラマなどでは、娘のためとはいえ犯人を見逃すということはまずないのだが、ホームズはなんと見逃すのである。ターナー氏は病気でもう永くない命、娘には何も知らないでいてもらいたい―それでも犯人を知っていながら見逃すことが果たして正義であるのか。刑事ドラマなどで取り上げられそうなテーマであるが、ホームズは別の容疑者が有罪にならない限りはこの秘密を外に出さないと約束する。そして何も知らない娘と容疑の晴れた容疑者(被害者の息子)が、幸せに暮らしたらしい、というハッピーエンド風のラストになっている。

 

まあ、ホームズは探偵であって刑事ではないから、個人の価値観で行動することに特に制限はないのだろう。「花婿失踪事件」でも触れたが、シャーロック・ホームズという男はあまり冷徹というわけでもなさそうである。

 

 

ボスコム谷の惨劇

 

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