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本のない書斎/中身のない研究

「青い紅玉/青いガーネット」The Adventure of the Blue Carbuncle アーサー・コナン・ドイル

 

シリーズの中でも一風変わった切り口。というのも、警察や依頼人から事件を持ち込まれるのではなく、遊び半分で調査していたことが偶然にも犯罪と関係があった、という展開なのである。

 

タイトルには覚えがなかったが、こちらも読んだことがある作品だった。

 

ホームズの知人が偶然手にした帽子とガチョウ。ガチョウの餌袋の中には、数日前に盗まれた有名な宝石が入っていた。ガチョウの入手ルートを辿っていくと、同じくガチョウを探していた犯人(宝石を盗んだ犯人である)を発見する。

 

シャーロック・ホームズの作品の中でもけっこう好きな作品かもしれない。とある事件が起きてそれを解決する、というものではなく、日常が実は事件につながっていた、という展開が良い。

 

これまでにもこういうことは多々あったのだが、ホームズはまた犯人を見逃している(今回の犯人は、これまでに読んだ作品の中でも最も醜態を晒したと思う)。今回はこのことについてホームズの意見が述べられていた。

 

僕は警察に雇われて彼らの不足分を補っているわけじゃないんだ。もしホーナーが危険だったんならまた別だったろうけど、ライダーがホーナーに不利な証言をすることはもうないだろうし、訴えも崩れていくに違いない。僕は重罪を減刑してやっているんだろうか。でも、人の心を救ったというのはちょっとありえそうなことだよ。この男は2度と間違った道に踏み込むことはないだろう、ひどく脅かされたからね。刑務所に送ってみろ、きっと檻の鳥として一生を過ごすことになっただろう。今は罪を赦す季節だ。

(青空文庫「ブルー・カーバンクル」より)

 

どうもホームズには冷徹なイメージがあるのだが、回を重ねるごとにどんどん寛容になっているような気がする。まあ、偏屈な天才だからといって冷徹であるとは限らないのだが。最後のひとことは、要するに「クリスマスだから許す」ということだ。

 

個人的には、おそらく宝石のことを指すであろうタイトルの「青い紅玉」があまりピンと来ない。青なのに紅玉という矛盾するようなタイトルであるのに、そこに重要なことは何もないというのもすっきりしない。これという訳がないせいか、「ブルー・カーバンクル」とか「蒼炎石」とか「青い柘榴石」とか様々なタイトルがある。

 

最近では「青い紅玉」ではなく「青いガーネット」と訳されることが多いのだそうだが、「ブルーカーバンクル」と呼ばれるこの宝石が何を想定したものなのか、というのはいまだによく分からないようだ。

 

 

 

青い紅玉

 

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