Empty Study

本のない書斎/中身のない研究

「ウィリアム・ウィルスン」William Wilson エドガー・アラン・ポー

 

ウィリアム・ウィルスン(以下「私」)が、出会ったのは、自分と同姓同名の男だった。

 

名前だけでなく、あらゆる点で彼は「私」によく似ていた。同い年で誕生日まで同じ。彼は「私」の服装や仕草まで真似している。

 

彼は行く先々で「私」の邪魔をする。賭博のイカサマを暴露したり、女性に声をかけようとするのを邪魔したり。「私」は憤怒のあまり彼を刺し殺すが、彼は死に際、鏡と間違うほど自分によく似た姿で恐ろしいことを言う。

 

「お前は勝ったのだ。己は降参する。だが、これからさきは、お前も死んだのだ、――この世にたいして、天国にたいして、また希望にたいして死んだんだぞ! 己のなかにお前は生きていたのだ。――そして、己の死で、お前がどんなにまったく自分を殺してしまったかということを、お前自身のものであるこの姿でよく見ろ」

 

わからないなりにも面白く、ポーの中でも好きな作品だと思ったのだが、どうやらこれは「ドッペルゲンガー」を題材にした怪奇譚らしい。

 

わたしには、単なる怪奇譚というより、寓話的な雰囲気が感じられた。ポーの作品というのはわりと骨子がしっかりしているというか、隠された(わたしが気付かないだけで、別に隠してはいないのかもしれないが)意味を知ると驚かされることが多い。

 

 

図書カード:ウィリアム・ウィルスン

 

アクセスカウンター