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本のない書斎/中身のない研究

「うづしほ/メールストロムの旋渦」A Descent into the Maelström エドガー・アラン・ポー

 

この2作品はどちらもポーの「A DESCENT INTO THE MAELSTROM」を訳したものであり内容は同じである。わたしは「うづしほ」の方を読んだが、「メールストロムの旋渦」の方もざっと目を通した。

 

「うづしほ」は森鷗外による訳である。鷗外作品は数年前に手を出そうとしたが難しくて歯が立たなかった。泉鏡花や芥川龍之介なども比較的難しく感じていたが、何とか読むことはできた。ところが森鷗外は教科書で読んだはずの「舞姫」ですら読むことが困難だったのである。今なら多少は読めるようになっているのかもしれない。

 

「うづしほ」は、ある男の恐ろしい体験の話である。その男は、老人のように見えるのだが、これはその恐ろしい出来事のせいで一気に老け込んでしまったためで、実は若いのだという。

 

兄弟と漁をしていた男は、「モスコエストロオム」という恐ろしい渦に巻き込まれてしまう。死を覚悟し諦めの境地に達した男は、渦の中での観察とかつて学校で聞いた話から、小さい円筒状のものは沈まないということに気が付く。そうして助かることができたが、漁師たちはこの話を信じてくれない。

 

こんな大変な目にあった、という話をして聞かせ、「多分あなたはロフオツデンの疑深い漁師とは違つて、幾分かわたくしの詞を信じて下さるだらうと存じます」というラストは夢野久作っぽいと感じたが、この部分は、「メールストロムの旋渦」では「人の言うことを茶化してしまうあのロフォーデンの漁師たち以上に、あなたがそれを信じてくださろうとは、どうも私にはあまり思えないんですがね」と訳されている。

 

 

図書カード:うづしほ

図書カード:メールストロムの旋渦

 

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