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本のない書斎/中身のない研究

「畜犬談 ―伊馬鵜平君に与える―」 太宰 治

 

犬が嫌いな男がひょんなことから犬を飼うことになり、始めは憎らしく思っているのだがいつしか愛情を感じるようになる、という、現代でも非常によくある筋書きなのであるが、非常に面白い。ポチに対する男の変わり様に対して、妻の方は相変わらず浮かぬ顔をしている、というのも良い。

 

とにかく犬が嫌いであるということにかなりの字数を費やしているのだが、この部分など非常にユーモアを感じさせる。「三七、二十一日間病院に通わなければならぬ」というフレーズが何度か登場するのもツボを押さえているというか、痛快である。

 

犬に噛まれて二十一日間病院に通った友人というのが、サブタイトルにある「伊馬鵜平君」なのだそうだ。エッセイのようであるが、すべて事実かどうかはわからない。

 

太宰はわたしにとって、非常に人間味を感じさせる作家であるが、この作品なども、それがよく出ていると思う。

 

 

図書カード:畜犬談

 

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