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本のない書斎/中身のない研究

「葉」 太宰 治

 

死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目しまめが織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。

 

この書き出しに覚えがあった。しかし「葉」は読んだことがなかった。どこで見たのだろう。

 

話題が次々変わる自由な散文、詩のようであると思った。わたしはとても好きだ。

 

「畜犬談」を読む限りでは太宰は犬が嫌いなようだが、ねこは好きなようである。

 

ある日、私が朝食のいわしを焼いていたら、庭のねこがものうげに泣いた。私も縁側へでて、にゃあ、と言った。ねこは起きあがり、静かに私のほうへ歩いて来た。私は鰯を一尾なげてやった。ねこは逃げ腰をつかいながらもたべたのだ。私の胸は浪うった。わが恋はれられたり。

 

 

図書カード:葉

 

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