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本のない書斎/中身のない研究

「白銀号事件/白銀の失踪」Silver Blaze アーサー・コナン・ドイル

 

ここからは、『シャーロック・ホームズの回想』に納められた作品に入る。「白銀号」というのは客船の話かと思ったのだがこれは競走馬の名前だった。

 

調教師が殺され、レースを控えた一番人気の競走馬、シルバー・ブレイズも失踪してしまった。ホームズは馬を見つけ出すが、そのことを馬主には知らせず、「間違いなく馬はレースに出る」とだけ伝えると、すぐに帰ってしまう。

 

レース当日、馬を取り戻すのと、調教師が殺された事件の真相を暴くのとを同時に行なうのは鮮やかで作品としては盛り上がるのだが、シャーロック・ホームズがこのような粋な演出をするということに少し違和感を感じた。太陽系の知識すら邪魔だと言うホームズが競馬に興じるような台詞を言うのも意外だ。

 

しかも今回、ホームズは、馬を隠していたブラウンの罪を問わないどころか、シルバー・ブレイズの馬主にさえこれを「ある人物」などと言って曖昧にしているのである。 魔が差してやっただけとはいえ、特段情けをかけてやるべきとも思えないのだが。

 

有名な「吠えなかった犬の推理」もあり、伏線回収などもわりとしっかりあるので、短編の中では読み応えのある作品と言えるかもしれない。

 

シャーロック・ホームズの思い出(新潮文庫) シャーロック・ホームズ シリーズ

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図書カード:白銀の失踪

白銀号事件

 

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