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本のない書斎/中身のない研究

「少年」 谷崎 潤一郎

 

学校ではおとなしい信一に呼ばれて家に遊びに行った。信一は立派な屋敷に住んでおり、そこでの信一は、ガキ大将の仙吉をも服従させる絶対的強者だった。私は信一、仙吉、そして信一の姉であり妾の子である光子との4人で遊ぶようになる。子供らしい残虐性を持った遊びはどんどんエスカレートしていき、ついには信一が本物の刃物を持ち出して体を切ったりするまでになった。いじめのようにも見えるのだが、自ら望んでそうされているような風でもある。

 

ある日信一がいないので、私と仙吉は、光子の手引で、入ることを禁じられている西洋館へ忍び込む計画をする。その夜私が西洋館へ行くと、光子が仙吉を縛って燭台にしていた。仙吉の顔には溶けた蝋が流れ出し、眼も唇も塞がれていた。

 

「お前はさっき仙吉と一緒にあたしを縁台の代りにしたから、今度はお前が燭台の代りにおなり」

 

この日以降、4人の中の絶対的強者は光子に変わった。光子の天下は長く続き、喜々として命令に服従する3人はまるで光子の奴隷であった。

 

人間を縛って燭台にするというのはあまりにSM的だが、無自覚な児戯の危うさ、際どさ、残虐さ、絶対的服従、無抵抗の恍惚、あらためてとんでもない作家だと思わされた。

 

刺青・少年 (角川文庫)

刺青・少年 (角川文庫)

 

 

図書カード:少年

 

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