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本のない書斎/中身のない研究

「モルグ街の殺人事件/病院横町の殺人犯」The Murders in the Rue Morgue エドガー・アラン・ポー

 

再読。以前は「モルグ街の殺人事件」を読んだので、今回は森鴎外訳の「病院横町の殺人犯」の方を読んだ。こちらの方が短い。というのも、最初の部分をカットしているからである。これについては、訳者である鴎外の考えが最後に述べてある。論文のような文章が長々と続いては読者が途中で読むのを止めてしまうだろうと思ったから省いたのだそうだ。

 

面白いのは、現代から見ると相当に古めかしく読みにくいこの作品の最後に、『一体「病院横町の殺人犯」は世界に名高いポオの世界に名高い小説だが、今の読者には向かぬかも知れない。』などと書いてあることである。鴎外の時代ですでに「今の読者には向かないかもしれない」と書いているのだ。

 

内容についてだが、デュパンの観察と分析がドイルのホームズに影響を与えているのは間違いないと言っていいだろう。犯人が動物である、というところまでは良いのだが、「猩々」という全く馴染みのない言葉で語られるので、そこで興ざめしてしまう読者も多いかもしれない。これはオランウータンのことらしい。殺された2人の惨状については、現代でもなお追随を許さないくらいの残虐さがある。これはなかなか驚くべきことではないかと思う。

 

ポーは探偵小説が書きたかったわけではないとも聞く。はじめの方で、自分とデュパンが夜を好んで、人からみれば狂人のような不思議な生活をしていると書いてある。昼間から人工的に夜を作り出すなど、ポーの作品らしくて興味をそそられるのだが、作品はほとんど事件の話であって、2人の奇妙な生活についてあまり触れられていないのは少し残念である。

 

モルグ街の殺人事件

モルグ街の殺人事件

 

  

図書カード:モルグ街の殺人事件

図書カード:病院横町の殺人犯

 

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