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本のない書斎/中身のない研究

「マリー・ロジェエの怪事件」The Mystery of Marie Rogêt エドガー・アラン・ポー

 

「モルグ街の殺人事件」の続編である。

 

ホームズなどは報酬よりもとにかく事件を求めるが、デュパンはそれなりの金銭によって「マリー・ロジェエ」に関する事件を請け負っている。デュパンというのはとても冷徹であって、あのシャーロック・ホームズが非常に人情味あふれる人物に見えてくるほどである。

 

デュパンは出鱈目や憶測や間違いが多分に含まれる、時にはすべてがそうである「新聞」の情報だけで真相を導き出した。その後デュパンの推理をもとに操作が行われて事件は解決するのだが、この部分はただその事実だけが簡単に述べられ、具体的な描写はない。ポーにとってそこはたいした問題ではないのだろう。

 

この作品は、実際の事件をモデルに書かれている。デュパンというキャラクターを通して、ポーが自身の主張をしているようにも感じられる。

 

印象的だった部分を以下に抜粋する。

 

大衆というものは、一般の考えに辛辣な反対を述べる人だけを考え深い人だと思うものだよ。推定においても、文学においてと同様に、いちばん早く、またいちばん広く理解されるのは警句なんだ。どっちの場合でも、そいつはいちばん価値の低い代物(しろもの)なんだがね。

 僕が言いたいと思うのは、このマリー・ロジェエがまだ生きているという考えを『レトワール紙』に思いつかせ、また公衆がそれを歓迎したのは、それが少しでも真実らしいからだというよりも、ただそのなかに警句と鳴物芝居とがごっちゃになっているからだ、ということなんだよ。

 

エドガー・アラン・ポー短篇集 (ちくま文庫)

エドガー・アラン・ポー短篇集 (ちくま文庫)

 

 

図書カード:マリー・ロジェエの怪事件

 

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