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本のない書斎/中身のない研究

「魚服記」 太宰 治

 

再読。中国の故事みたいだと思ったことを覚えている。

「魚服記に就て」を読むと、やはり中国の物語がもとになっているようである。

 

はじめの方は寂しげで物哀しくてあまり楽しい話とは思わなかったが、最後の章を読んでとても好きだと思った。スワは滝に身投げをして鮒になってしまうのだが、それまでの生活にひどく閉塞感があるため、悲壮というよりむしろ救われたような感じがあるのだ。

 

「魚服記」についての考察をいくつか読んだが、鮒になったスワがしばらく何か考えてからまっすぐ滝壺へと向かう場面について書いてあるものはなかった。スワが何を思ったか。おそらくは滝壺に落ちて死んだあの都会の学生のことである。会いに行ったのである。こんなことはあまりに分かりきっているから誰も書かないのだろうか。わたしは一晩経ってようやく気が付いたのだが。

 

はじめて読んだときには、あまり太宰の作品という感じを受けなかったが、青森の自然や少女の自殺など、非常に太宰らしい作品である。

 

菊地成孔氏の「魚になるまで」という曲があるのだが、その歌詞というか朗読のテキストは、おそらく「魚服記」をモチーフにしていると思う。

 

魚服記

魚服記

 

 

魚になるまで

魚になるまで

 

 

魚になるまで

魚になるまで

 

 

図書カード:魚服記

図書カード:魚服記に就て

 

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