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本のない書斎/中身のない研究

「よく利く薬とえらい薬」 宮沢 賢治

 

善人の成功例を欲深い者が真似しようとしてひどい目に遭う、という、非常にオーソドックスな形の童話である。善人の場合は透きとおったばらの実で病気が治るというファンタジーっぽい世界観なのだが、悪人の場合には科学的根拠が登場するのは妙にリアリティがあって面白い。

 

それからにせがね製造場へ自分で降りて行って、ばらの実をるつぼに入れました。それからすきとほらせる為に、ガラスのかけらと水銀と塩酸を入れて、ブウブウとふいごにかけ、まっ赤にきました。そしたらどうです。るつぼの中にすきとほったものが出来てゐました。大三はよろこんでそれをみました。するとアプッと云って死んでしまひました。それが丁度そのばんの八時半ごろ、るつぼの中にできたすきとほったものは、実は昇汞しょうこうといふいちばんひどい毒薬でした。

 

よく利く薬とえらい薬 (ガラス絵の宮沢賢治 (10))

よく利く薬とえらい薬 (ガラス絵の宮沢賢治 (10))

 

 

図書カード:よく利く薬とえらい薬

 

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