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本のない書斎/中身のない研究

「桜の樹の下には」 梶井 基次郎

 

桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる!

 

再読。この16文字だけで衝撃を受ける。

理由なんか聞く必要もないくらいに納得する。

 

桜に感じる恐怖について、桜の木というのはすべて、ひとつの木から生まれたクローンである、という話を聞いたことがある。

 

「あれが全部綾波レイだと思ってごらんなさい。ずいぶん恐ろしいでしょう。」

 

真偽のほどは分からないが、言われてみればたしかに、と納得しかけてしまう仮説である。しかしそれだけではないような気がする。なんというか、これは、理屈ではないのだ。

 

ああ、桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる!

 

そうだ、そうに違いない。そうとしか考えられない。

あの美しさ、儚さ、寂しさ、そこはかとない恐ろしさ、どんな形容詞でもなし得なかったあの感覚を表現することを、こんなにも鮮やかにやってのける。

この人の感覚は本物だ。

 

梶井基次郎全集 全一巻 (ちくま文庫)

梶井基次郎全集 全一巻 (ちくま文庫)

 

 

図書カード:桜の樹の下には

 

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