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本のない書斎/中身のない研究

「酒のあとさき」 坂口 安吾

 

思ふに、酔つ払つた悦楽の時間よりも醒めて苦痛の時間の方がたしかに長いのであるが、それは人生自体と同じことで、なぜ酒をのむかと云へば、なぜ生きながらへるかと同じことであるらしい。酔ふことはすべて苦痛で、得恋の苦しみは失恋の苦しみと同じもので、女の人と会ひ顔を見てゐるうちはよいけれども、別れるとすぐ苦しくなつて、夜がねむれなかつたりするものである。

 

こちらにも中原中也との出会いが書いてある。但し「二十七歳」での記述の方が詳しい。

  

然し、小さな舞妓のキモノが群集の波を楚々とくゞりぬけて行く美しさは今でも私の目にしみてゐる。

 

ラストシーンに、なぜだか渡辺温の「ああ華族様だよ と私は嘘を吐くのであった」を思い出した。

 

 

追記

「日本文化私観」でもこの場面について描かれている。

よほど印象的であったのだろう。

 

堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (岩波文庫)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (岩波文庫)

 

 

図書カード:酒のあとさき

 

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