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本のない書斎/中身のない研究

「探偵小説とは」 坂口 安吾

 

推理小説というものは、文学よりも、パズルの要素が多い。
制作の方法から見ても、一般の文学と推理小説では根柢から違っている。

 

安吾は文学は「自我の発見」であるという。これはなるほどと思った。文章を書いていると、自分でも驚くようなことに気付かされることがある。

 

文学は、自我の発見であり、常に予定をハミ出して、おのずからの生成展開が行われることによって、自我の発見とか創造というものが行われ得るのである。

 

推理小説では、予定をはみ出して登場人物たちが勝手に動き出すというわけにはいかない。はじめから綿密に計算されていなければいけないのだ。

 

安吾は日本の推理小説はほとんどが探偵小説ではなく怪奇小説であると言う。また、推理小説は多作するとダメになりやすいものであると指摘する。

 

 江戸川乱歩氏などは、日本の探偵作家に稀れな論理的な頭脳を持った作家で、彼の探偵小説批評、本陣殺人事件の批判などを見るとその資質を充分うかがい得るのであるが、そして又、彼の探偵作家としての初期の作品は極めて独創的な推理小説から出発しているのであるが、職業作家として多作を強いられて後は、怪奇小説に走らざるを得なくなった。

 

そこで安吾が提案するのが「合作」である。なるほど、文学の場合はその性質からも一人で行なうものであるが、推理小説が「パズル」である以上、この方法はとても有効に思える。今となっては詮無い空想であるが、江戸川乱歩と坂口安吾の合作などというものがあればぜひ読んでみたいものだ。

 

探偵小説とは

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図書カード:探偵小説とは

 

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