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本のない書斎/中身のない研究

「青春の逆説」 織田 作之助

 

当時発売禁止処分を受けたいわゆる「発禁本」であるが、これは別に内容が過激だとかいうことではなく、「時世に合わない」というやつだ。

 

豹一は自尊心というか自意識の過剰な少年なのだが、彼ほどではないにせよ誰しも若い時分にはこういうことに覚えがあるのではないだろうか。「夫婦善哉」と同じく、主人公の前にまずその両親が描かれる。そうして主人公にフォーカスしていく。周囲の人間なども丁寧に描きながら、半生というか、比較的長い期間を描くことも似ている。

 

織田の描く人間は皆どこかダメなようなところがあって、でも憎めないような、そんな人間である。善人も悪人もいなくて、ただ人間がいるという、そういう感じを受ける。変に美化されていないせいか、それがかえって美しく見えるようだ。

 

青春の逆説 (角川文庫)

青春の逆説 (角川文庫)

 

 

図書カード:青春の逆説

 

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