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本のない書斎/中身のない研究

「大望をいだく河童」 坂口 安吾

 

 昔、池袋にすんでいたころ、小学校の生徒に頻りに敬礼されて、その界隈を遠廻りに敬遠して歩かねばならなくなったが、僕に似た先生がいたに相違ない。

 戦争中、神田の創元社へよく遊びにでかけたが、日大生に時々敬礼された。何先生が僕に似ているのか気にかかった。

 

安吾はいろいろな人に間違われたらしい。安吾の風貌は特徴的だと思っていたから少し意外だった。

 

むかし小林秀雄は酔っ払うと僕に向って、ヤイ、河童、と言った。髪の毛が額にたれるせいだろう。

 

河童と言われた安吾が、おそらくそれを意識して書いたのであろう自画像が載っているのだが、ごく簡単な線で特徴を捉えておりしかも愛嬌がある。

 

井伏鱒二は「ヤイ、安吾」と言い、小林秀雄は「ヤイ、河童」と言う。別のエッセイでは、中原中也が「ヤイ、アンゴ」と言っていた。皆が皆「ヤイ」なんて言ったのかどうか怪しいものだが、ほんとうだったらいいなと思う。いい響きだ。

 

『坂口安吾全集・444作品⇒1冊』

『坂口安吾全集・444作品⇒1冊』

 

 

図書カード:大望をいだく河童

 

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