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本のない書斎/中身のない研究

「明治開化 安吾捕物 その六 血を見る真珠」 坂口 安吾

 

真珠の密漁をする部分が面白かった。

世界観というか毛色がちょっと違うように感じたので、どうやって新十郎たちを登場させるのだろうと思ったが、要らぬ心配だった。それから3年後に未亡人が依頼人として訪ねてくるのである。

 

最後は論点をずらしていいことを言ったように見せる海舟。そういう手もあるか。

 

「そうかい。今村が八十吉殺しの、清松が畑中殺しの犯人かい。まことに意外な犯人だが、畑中を殺して金庫をあけた清松に宝石が見つからなくて、色慾のために八十吉を殺した今村に宝石の所在が分ったことも意外。又、その今村に宝石を盗む余裕がなく、おのずから海底へ戻ったことも意外。その意外を知らず、清松があくまで宝石を捜しもとめることによって自滅したのも、又、意外。実に宝石にからまる不思議は、常にこのように意外なものだ。しかし、深く不思議がるにも及ばねえや。ラムネ玉ほどの小ッポケな奴が何百万円もするのだもの、この世に金の値打ほど不思議を働く物はないのさ。虎も清貧に甘んじて、みだりに富貴を望まないのが身の為だよ。かりそめにも金山を当てようなどと浮気心は最もつつしむべきところだ」
 これ又意外な説教。しかし虎はことごとく謹んで傾聴しているから世話はない。

 

明治開化 安吾捕物帖 全21巻合本版

明治開化 安吾捕物帖 全21巻合本版

 

 

図書カード:明治開化 安吾捕物

 

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