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本のない書斎/中身のない研究

「どじょうと金魚」 小川 未明

 

アプリの「新着」にあったのが目について読んだ。

小川未明の作品はおそらくはじめて読む。「赤い蠟燭と人魚」の人、というイメージだが、読んだことはないのである。

 

とても短い作品で、夢野久作の子供向け作品のような印象を受けた。

 

 ある子供こどもがガラスのびんをって、金魚きんぎょをほしいといって、いていました。すると、とおりかかったどじょうりのおじいさんが、そのびんのなかへ、どじょうを二ひきいれてくれました。
 子供こどもは、よろこんで、びんにかおしつけるようにして、ながめると、ひげをはやして、こっけいなかおえるどじょうは、
ぼっちゃん、あのきれいなばかしで、のうのない金魚きんぎょよりは、わたしのほうがよっぽどいいのですよ。ひとつおどってみせましょうか?」といって、一ぴきのどじょうは、びんのそこからみずうえまで、もんどりって、こっけいなかお表面ひょうめんへだし、またびんのそこしずみました。
 子供こどもは、いままで、どじょうをばかにしていたのは、まったく自分じぶんかんがえがたりなかったのだとりました。
金魚きんぎょよりか、あいきょうがあるし、おどりもするし、ずっとおもしろいや。」と、子供こどもは、びんをあるいて、ともだちに吹聴ふいちょうしたのです。
 金魚きんぎょっている子供こどもわらって、
「そんな、どじょうなんかなんだい、この金魚きんぎょたかいのだぜ。」といって、相手あいてにしませんでした。
ぼっちゃん、かなしむことはありません。まあていてごらんなさい。」と、どじょうはいいました。
 じめじめした、いやな天気てんきがつづきました。生活力せいかつりょくとぼしい金魚きんぎょは、みんなよわってんでしまったけれど、どじょうは元気げんきでした。そして、いつでもあいきょうのあるかおをして、かわるがわるびんのなかおどっていました。

 

小川未明童話集 (新潮文庫)

小川未明童話集 (新潮文庫)

 

 

赤い蝋燭と人魚

赤い蝋燭と人魚

 

 

図書カード:どじょうと金魚

 

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