絶版本。ホセ・ドノソの「夜のみだらな鳥」。 どうしても読みたかったのでAmazonでそこそこの値段(定価の4倍くらいでした)で注文したのですが、それでも買って良かったと思えるすごい本でした。 感想 "名門アスコイティア家に、待ち望まれていた嗣子《ボー…
日本推理作家協会賞&日本SF大賞受賞作。 聖遷暦1213年、偽りの平穏に満ちたカイロ。訪れる者を幻惑するイスラムの地に、迫り来るナポレオン艦隊。対抗する術計、それは大いなる陰謀のはじまりだった。語られるのは、存在しない物語。13世紀エジプトを舞台…
起承転結なんのその。因果関係なんのその。これを読めば、普段いかに私たちは常識に縛られているかわかります。読書を超えた、脳みそが溶けるような経験がこの一冊に。――サンキュータツオ アフリカ文学の最高峰といわれる「やし酒飲み」。著者のエイモス・チ…
密かにはびこるファシズム、打ち砕かれるヒューマニズム。批評家を驚愕・震撼させた、ディストピア小説の傑作。 この本は内容を知ってしまってから読んだのだが、できれば何も知らずに読みたかった。 「どんでん返しがある」「何かが隠されている」などと言…
これは小説ではない。なんというジャンルになるだろうか、ドキュメンタリー、ノンフィクション、ルポ、暴露本・・・しかし内容は程度の低いゴシップなどではない。 凶悪な「連続幼女誘拐殺人事件」の犯人は実は冤罪で、真犯人は別にいる。そして警察は、真犯…
人格が入れ替わるというSFのような設定だが、決められたルールは厳密に守られ、例外や反則はないので気持ちよく騙されることができる。「人格転移システム」の存在や、CIAのような組織が暗躍することも、舞台がアメリカなのであまり違和感がない。また、様々…
本棚から本を取り出して読むというより、ギャラリーを歩くかインディペンデント映画を見るようなつもりで読め——マリオ・ベジャティン アルゼンチンの作家、サマンタシュウェブリンによる15篇の短い物語。 Amazonにもレビューがなく、「サマンタシュウェブリ…
主人公の大庭久太郎は、自分の意図と関係なく、時間の「反復落とし穴」に入るとの設定である。(解説より) 「バタフライ・エフェクト」、「時をかける少女」、「アバウト・タイム」など、「過去に戻って変更を加えることができる」設定のストーリーは多々あ…
「カエル男」の解説を読んで気になったのでこちらも読むことに。たしかに甲乙つけがたい。しかし最後にはこちらが選ばれたというのは納得です。カエル男のプロットもすごいですが、ドビュッシーの方が人物が魅力的に書かれていると感じました。 【連続殺人鬼…
タイトルからはB級映画のような印象を受けるが、これがなかなか本格派。最初は「連続殺人鬼 カエル男」ではなく「災厄の季節」というタイトルだったそう。 著者は映画化もされた「さよならドビュッシー」の中山 七里。 【さよならドビュッシー】 - Empty Stu…
期待が大きすぎたか。仕掛けが分かってしまった。でもこのラストは良い。 感想 ある程度この手のトリックに慣れていれば、すぐに気が付くだろう。「工藤忠明」「木内典子」など、登場人物は皆フルネームで語られるが、「濱口」と「重樹」は絶対に 「濱口重樹…
芥川賞受賞作。考えさせられる部分が多くありつつも、読みやすく、純粋に娯楽として楽しめる一冊。 あらすじと感想 主人公は、同じコンビニで18年間アルバイトをしている36歳独身女性。こう書くと人生に焦りを感じているアラフォー女子の話かと思われるのだ…
道尾作品は「片眼の猿」「カラスの親指」に続いて3冊目。 【片眼の猿】感想 - Empty Study 道尾秀介の叙述トリック作品は複数ありますが、一番有名なのはやはりこの作品ではないでしょうか。評価が分かれていますが、その理由にも納得。叙述トリックの中で…
作品紹介 解説(ネタバレあり) 「玻璃」と「俺」の会話(P5~6) 「父さん」と「母さん」と「俺」の話(P7~20) 「清澄」と「玻璃」の話(P21~300) ミスリード 年代の描写 清澄のお父さん あの子は死んだ ここからは誰の話? (P301~309) 再び「俺」の…
なるほどこれは上手い。 たった一言で覆すのではなく、「たった一言でミスリードする」作品です。 感想 閉ざされた山荘での連続殺人、これ以上ないベタな設定。加えて登場人物のキャラが濃い。特徴としては、全てを知っている存在の語り手がときおり登場し、…