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本のない書斎/中身のない研究

2017-01-01から1年間の記事一覧

醜悪にして美しい絶版本【夜のみだらな鳥】ホセ・ドノソ

絶版本。ホセ・ドノソの「夜のみだらな鳥」。 どうしても読みたかったのでAmazonでそこそこの値段(定価の4倍くらいでした)で注文したのですが、それでも買って良かったと思えるすごい本でした。 感想 "名門アスコイティア家に、待ち望まれていた嗣子《ボー…

読むものを魅了する稀代の書【アラビアの夜の種族】古川 日出男

日本推理作家協会賞&日本SF大賞受賞作。 聖遷暦1213年、偽りの平穏に満ちたカイロ。訪れる者を幻惑するイスラムの地に、迫り来るナポレオン艦隊。対抗する術計、それは大いなる陰謀のはじまりだった。語られるのは、存在しない物語。13世紀エジプトを舞台…

アフリカ文学の衝撃【やし酒飲み】感想

起承転結なんのその。因果関係なんのその。これを読めば、普段いかに私たちは常識に縛られているかわかります。読書を超えた、脳みそが溶けるような経験がこの一冊に。――サンキュータツオ アフリカ文学の最高峰といわれる「やし酒飲み」。著者のエイモス・チ…

現代のディストピア小説【ボラード病】ネタバレ感想

密かにはびこるファシズム、打ち砕かれるヒューマニズム。批評家を驚愕・震撼させた、ディストピア小説の傑作。 この本は内容を知ってしまってから読んだのだが、できれば何も知らずに読みたかった。 「どんでん返しがある」「何かが隠されている」などと言…

文庫X【殺人犯はそこにいる】―真犯人「ルパン」と、今なお隠蔽され続ける不都合な真実

これは小説ではない。なんというジャンルになるだろうか、ドキュメンタリー、ノンフィクション、ルポ、暴露本・・・しかし内容は程度の低いゴシップなどではない。 凶悪な「連続幼女誘拐殺人事件」の犯人は実は冤罪で、真犯人は別にいる。そして警察は、真犯…

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